昨日、第19話の感想を書いたけれど、実は気持ちは萎えていた。正直、盛り下がっていた。
ここ最近、私はガンダムを生き甲斐にしていた。毎日、土曜日の18時を楽しみに生きていたようなもの。
ガンダムについて書かれた本は片っ端から買い集めて、今後の展開をいろいろ想像して楽しんでいた。
この年でオタクってどうよ。そう思わないでもなかったけれど、素直に楽しかった。
で、今回の19話。スーッと熱が冷えていくことを実感。
なぜだろう。
絵がひどかったから?
レイが痛かったから?
ホーク姉妹がかわいそうだから?
ミーアが突き抜けているから?
アスランが痛々しいから?
全部、関係あるけれど、一番は何といってもアスランが原因と思う。
私はアスランが好きで、彼を目当てにガンダムを見ている。
理由はひとえに、真面目に生きているのに製作者に大事にされないから。
判官贔屓なもので。
読売が嫌いで阪神ファンになった人なもので。
同じ理由で、キラがチヤホヤされていて、真面目で誠実なのに報われないアスランが可哀想で、応援していた。
SEEDは、当然ながらアスランを応援した。
ところが全く出番がない。
「キラはかわいそうねー。頑張っているのにねー。強いのにねー」
なんだかそんなことばかり描かれていて、アスランは忘れ去られている。たまに出てきても「キラ……」ばかり。そして、あっさりキラに負ける。
さらに私はナタルをひいきにしていた。彼女はマリューの引き立て役になってしまって、こちらも痛々しく、見ていられなくなった。
私はマリューを個人としては好きだけど、軍艦の艦長としてはいかがなものかと。
私は命を託すならナタルがいい。
けど、製作者はナタルを典型的軍人として描き、マリューをひたすら魅力的な人物に仕立て上げた。彼女、キラとの出会いのころは、かなり軍人気質で怖かったわよ?
そんなこんなで、見るのをやめてしまった。もともと、それほどアニメを好きなわけでもなかったし。
具体的には、ラクスがキラを「あの方、好きですわ」と言った時点で、見限った。
「はいはい、キラはみんなに愛されて、アスランは引き立て役ですね〜」と、アホらしくなったので。
アスランが天才肌なら私もここまで彼を応援しなかった。
でも彼は悩んで悩んで、いつも悩んでいる。不器用なまでにハツカネズミになっている。だから、応援したくなる。
カガリがアスランを放っておけないのも、このあたりかも。
ところが時が流れて、ある日、たまたまテレビをつけたら、「運命」が。
そして、アスランにしては髪がありカッコいい人が、黒髪のロン毛にネチネチといじめられている。
「なに、これ……。番外編? まだ終わってなかったの?」
そう戸惑っているうちに、アスランはザクに乗った。
「アスラン・ザラ、出る!」
鳥肌が立ちましたよ。マジ、カッコええ!
で、DVDをまとめて買ってしまった。大人は下手に財力があるから怖い。
何度か挫折しそうになったものの、最後まで見て、カガリを気に入った。だからアスランとカガリが公式カップルになって嬉しかった。
そして第19話。
今回で議長が黒であることが確定した。彼はラクスを殺そうとしている。そのことにキラは気付いていて、アスランは気付かない。
ここで、私はアスランが痛々しくなってしまった。
ついでにいうと、ミーアに「え……」「う……」としどろもどろで、何も言えなくなってしまう彼は、「アスランらしい」を通り越して、痛い。
今後、どう考えてもキラが乗り込んできて、アスランの過ちを糺すのだろう。
キラはいつも正しいから。
それがムカつくのよ!
ガンダムは、それぞれ登場人物が、自分なりに悩み、そして判断し、行動している。主人公の引き立て役ではない。
絶対的な悪は存在せず、それぞれの「善」を信じ、戦っている。
そうじゃなかったの?
なのに、この「運命」では、AAという正義の味方が存在してしまっている。それ以外の人々は、それぞれ間違っている。そういうことになっている。
この第19話で議長が黒であることが確定し、そして雑誌ガンダムAの予告を読むと、23話でキラたちがミネルバに対立するという。
一気にアホらしくなってしまった。
思えば、キラはseedの前半のころは可愛かった。でもアスランの自爆の後、ラクスにフリーダムをもらってから、別人になってしまった。いきなり上からものを言う人になってしまった。
ラクスだって、そこまで偉そうには説教しない。
そもそも、この世の中に、絶対的に正しいものなんてない。ある程度は妥協しないと。
たとえばイスラエルとパレスチナの紛争、お互いが正義を貫いたら永遠に終わらない。でも妥協すれば、終わる。終えることができる。
戦争って、その妥協点を探して戦うものだと思う。なるべく有利な妥協点を設定するために、相手の発言力を奪うべくたたきつぶす。それが戦争なのでは?
相手を絶滅させる戦法をとる場合は別だけど。
ファーストで、シャアは父親の復讐という目的のために戦っていた。
アムロやブライトは言わずもがな。
みんな目的というか、戦う理由があった。それは、自分の中で、「だから誰かを殺してしまっても仕方がない」と言い訳できるほどのものなのだろう。
それぞれ、自分の事情で戦っていた。正義のためなんかじゃない。その正義だって、その人には正しくても、別の人にはただの殺戮だったりするし。
運命では、ラスボスが誰かわからないという謎、議長は何者なのかという謎、ジブリールたちブルーコスモスの謎、ロゴスの謎……。いくつか謎がある。
それを、それぞれの登場人物たちが、それぞれの行動で解明すればいいのに。キラが全てを仕切らなくてもいい。群像劇の意味がなくなるし。
昔のキラは可愛かったなあ。
ラクスがキラを調子づかせてしまったのだろうか。
来週はシンの過去、その次の週はシンとステラの出会い。
それはそれで楽しみだけど、アスカガのファンとしては、盛り上がりに欠ける。
この2週の間に我に返り、ガンダムから旅立つかも。
できれば、そうありたい。
そして全話の放送が終わった後、DVDをレンタルして一気に見るほうが気持ち的に楽だから。
とにかく萎えた。この19話。
全てが浅すぎるのよ! この浅い人間設定で軍需産業を出してきても言葉がすべるだけ。
そもそもカガリのそばにいたアスランがロゴスの存在を知らないのも変だし。